Vol.18 渋谷 理沙 さん

Vol.18 渋谷 理沙 さん

今回は、桧原に暮す渋谷理紗(しぶや りさ)さんです。家族のようなお付き合いにまでなった隣人のご夫婦との関係や、木工雑貨店「sukui」のことについてお聞きしました。

【日々の営みを大切にした暮らし】

大台町へ移住して5年目、以前は四日市にご夫婦で暮らしていた渋谷さん。四日市の生活環境は、病院、スーパー、レストランなど、必要なものがなんでも揃っていて便利でしたが、職場の同僚や友人との日常会話の中で、少しずつ自分がその環境に満足できていないことに気づかされていったと言います。

四日市で暮らしていた時から糠漬けや梅干し作りなどに興味があり、便利でなんでも揃う環境よりも、不便でも季節や日々の営みを大切にする暮らしをしたいという気持ちがあったそうです。その気持ちは次第に膨らんでいき、たまたま休日に出かけた大台町で、山に囲まれた風景や宮川の美しさを知り、大台町への移住を決めて家探しを始めました。

大台町の風景

はじめは、薗や江馬辺りの立地が、自然と便利さのバランスがいいと思っていましたが、大杉地区の景色を見たら、壮大な山の風景が気に入って空き家を見つけて住んでみることに。
長く空き家だった借家は、旦那様の昌俊さんと四日市から通って修繕と掃除に3〜4ヶ月かけたそうです。

四日市から通う生活が始まると、週末は大台町で寝泊まりをしていましたが、夜は何もすることがなかったので、修繕などのDIYで出た端材を削って手を動かし始めました。これがきっかけで木のカトラリーを作りはじめ、木工雑貨店「sukui」をオープンさせることへ繋がっていきました。

木工雑貨店「sukui」のカトラリー

【地元の方との関係】

暮らしが落ち着いてから、のんびり仕事を探そうと思っていた渋谷さんですが、無職の二人を心配したご近所さんが、昌俊さんに地域おこし協力隊として大杉谷登山センターで職員を募集していることを教えてくださり、あっという間に就職は決まりました。

ご近所に暮らす大瀬さん

渋谷さんのご自宅から一番近くに暮らしている大瀬さんは、桧原の地元の方。今となっては、遠慮の要らない関係になっていますが、「こんな風に暮らせるなんて思っていなかった。大瀬さんご夫婦がいるからここで暮らし続けたいと思える。」と、今はこの土地に暮らす理由の一つにもなっているそうです。

「大瀬さんには、鹿や猪の罠猟を教えてもらい、獲った後は一緒に捌いたり、野菜作りを教えてもらったり、ここでの暮らしの楽しさをたくさん教えてもらいました。夕飯を一緒に囲んだり、困った時は親身になって話を聞いてくれたり。助けが必要な時は、頼まれたり、頼んだりできる大切な存在。」と渋谷さん。すっかり家族のような関係になっているのが伝わってきました。

自分で摘んだお茶

【大切にしたいこと】

一年の中で一番好きなことは、自分で摘んだお茶を使った「紅茶作り」だそう。

一般的に、お茶には農薬が使われることが多く、機械で大量生産していることがほとんどですが、自分たちが飲む分だけを手摘みして、揉捻・発酵をし紅茶を作る贅沢なもの。それが、渋谷家の常用茶となっています。

また、昨年に長男を出産し、現在子育て真っ只中。子育てを始めて、以前よりも暮らしに関わるものを作りたいと思うようになったそうです。そして、「sukuiの商品を選んでくださるお客様に、もっと喜んでいただけるものを作りたい。大台町へ移住してものづくりをしたい人がいたら、こんな風に暮らすこともできるんだ。私にもできるかもと思って欲しい。」と仰っていました。

1歳になったばかりの柊作くん。まだまだ目が離せないので、店番や商品の制作は夫婦交代で行っています。

木工雑貨店「sukui」

店を良くしたいとか、新しいものを作りたいという気持ちはあるそうですが、今は子育てが中心のため、生活とものづくりのバランスを取りながら、できる形で続けているそうです。

出産のためしばらくお休みしていたsukuiですが、今年で3年目。ロゴマークの亀のように、ゆっくりでもしっかりとした一歩を進んでいるようです。

木工雑貨 sukui
https://www.zakkasukui.com
instagram & Facebook : Zakka_sukui

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