今回のインタビューは、大台町の栗谷で、カフェを営んでいる山内美知子（やまうち みちこ）さんと、中西恵子（なかにし けいこ）さんです。
カフェのある栗谷地区は、県道３１号線で大杉谷へ向い、途中、江馬地区を越えると右手に出てくる「霊符山大陽寺」の大きな鳥居を曲がり、「湯谷峠」へ繋がる県道４２２号線を進む途中にあります。
「湯谷峠」は、松阪の飯高町との境にある峠で、奈良や大阪へ向かうのにも利用されています。
【夢楽という場所】
元々、栗谷地区に暮らす地元の人たちが、交流できる場所という目的で、地元の有志がお金を出し合って建てた「夢楽」。
最近では、地元の人たちだけでなく、こんにゃく作りやそば打ち体験など、地域外から来る人たちにも、足を運んでもらえる場所としても利用されてきました。
【Cafe 夢楽への思い】
その「夢楽」で、１年ほど前から「Cafe 夢楽」として週末の金・土・日曜日に、地元出身の３人の女性がカフェを営業されています。その３人とは、山内美知子さんと、妹の中西恵子さん。そして、中西さんの幼馴染の出口喜代江（でぐち きよえ）さんです。
3人とも栗谷で生まれ育ち、栗谷小学校を卒業しました。 いつか、小さな喫茶店をやりたいと思っていたところ、縁があってこの場所を使ってカフェをすることになったそうです。
せっかくここでお店をするなら、地域活性化に繋がるように、たくさんの方に足を運んでほしいという気持ちから、コーヒーやお茶だけでなく、地元食材を使ったおまかせランチも提供しています。
ここを利用するお客さんは、栗谷へ鮎釣りに来る方、旅する途中にふらりと立ち寄ってくださる遠方の方、そして、大台町内に暮らす地元の方が多いそうです。大台町内に暮らす同級生が立ち寄ってくださると、随分前のことなのに、すぐ子どもの頃の思い出話が溢れてくるそうで、お二人にとって、ここを訪れる方と楽しい時間を共有できるとても大切な場所にもなっています。
お二人が小学生だった頃は、まだこの地区にも１００人ほどの小学生が、栗谷小学校に通っていました。子どもの数が激減して、昭和４９年に廃校になってしまいましたが、とても賑やかだったそうです。
その頃は、今のように、車で湯谷峠を越えて飯高へ行くことができなかったので、江馬に映画館や服屋がたくさん並び、「江馬にお買い物に行くのが楽しみでした。よく覚えています。」と、懐かしそうな中西さん。
また、お店のすぐそばにある「霊符山大陽寺」は、北斗七星を祀られていて、伊勢・志摩一帯の漁師が、海上安全祈願として、大きなバスでここまで参拝に来ることがよくあったそうです。節句に、大陽寺で相撲を観た思い出もあるそうで、同級生とはそんな懐かしい話が尽きないのだとか。
季節の良い時期には、バイクなどで遠方から来てくださる方が増えるので、ここで身体を休めていただくだけでなく、お客様に、栗谷地域の良さを伝えたいという気持ちを強く感じるそうです。
【栗谷での暮らし】
お二人とも、親戚が大阪に暮らしていたこともあり、都会へ憧れ、京都や大阪に就職とともに移り住み、ご結婚されてしばらく経ってから栗谷に戻ってきました。その時は、正直、故郷を懐かしんで戻ってきたという感じではありませんでした。
戻ったばかりの頃は、車の免許がなかったため、新たに免許を取り、車での移動が基本の生活になったり、都会と違う不便さに、便利だった暮らしを恋しく思うこともあったのだとか。
しかし、生活にも慣れ、年齢を重ねていくと、都会で暮らしていたらなかなかできない広々とした家で、マイペースな暮らしができるのも、ここで暮らしているからだと気づき、今では、栗谷に戻ってきて本当によかったと感じているそうです。 最近は、山内さんのご自宅でさまざまなお花を育てていて、共通の趣味を持つお友達と、「早く春が来るといいね。」とよく話していると、嬉しそうに仰っていました。
また、栗谷地区は、９９の谷があると言われるほどたくさんの谷がある場所。県道沿いの宮川の支流「栗谷川」には、山からの沢水がたっぷり流れ込み、幾重にも重なる山々の風景が広がっています。
新緑、桜、シャクナゲ、蛍、紅葉、、、季節ごとに美しい自然が楽しめ、心癒されます。
「もう少し暖かくなって、人にたくさん来ていただけるような時期になったら、また、昨年のようにライブをしたり、楽しいことをたくさん企画して、いろんな方にここへ足を運んでほしい。春は、山の新緑とお花がきれいなので、ぜひ、遊びにいらしてください。」と、最後にメッセージをいただきました。
Cafe 夢楽
住所 : 三重県多気郡大台町栗谷１７０－４
電話番号 : ０８０－８７２２－８３２３
営業時間 : ８：３０～１６：００
金・土・日のみ営業
※ランチは要予約