今回のインタビューは、栃原にお住まいの西昂世(にしたかせ)さんです。
西さんのご自宅前には、大きなジャンプ台が何台も並びBMX(ビー・エム・エックス)の練習場が作られています。
【BMXとは】
BMXとは、Bicycle Motocross(バイシクル・モトクロス)の略で、アメリカで生まれた自転車競技の一つ。小型の競技用自転車で速さを競うだけでなく、「フリースタイル」というジャンルがあり、自転車を自在に操り、技の難易度や完成度で得点を競うスポーツです。
「フリースタイル」の中には、自転車で段差を飛んだり、壁を走ったりする「ストリート」、平な場所で自転車を回転させたり、タイヤの上でバランスをとったりして技を競う「フラットランド」、さまざまなサイズのジャンプ台を使って技を競う「パーク」などがあります。西さんは、東京2020オリンピックから正式競技種目にもなった「パーク」で競技しています。
オリンピックの正式競技種目になったとはいえ、まだまだ広く知られていないスポーツ。私も、目の前で見たのは今回初めてでしたが、長身の西さんが、軽やかにジャンプをし、空中で繰り出されるアクロバッティックな技を見て、その技のダイナミックさや高さに大興奮しました。
【とにかく自転車が好き】
西さんに、BMXとの出会いについてお聞きしてみると、「とにかく小さい頃から自転車に乗ることが好きで、小学生の時にはマウンテンバイクに乗って近所を走り回っていました。14歳の時に友人に教えてもらった海外のテレビ番組でBMXを知り、自分もやってみたいと思い、両親にBMXの自転車を買ってもらいました。はじめは今のようにジャンプ台もなかったので、街中の段差を飛んだりするだけでしたが、時間があればいつでも自転車に乗っていました。」と、自転車が純粋に好きだったことがきっかけとなったのだそう。
現在は、ご両親が経営する自動車整備会社で働きながら、午後の数時間を練習に当てられるという理解ある職場環境の中、日々トレーニングに励んでいます。
BMXの自転車を買ってもらった時から20年経った今、これからもずっと乗り続けていくと断言する西さんですが、「はじめは、できる技が増えるのがただ嬉しかった。今は、純粋に自転車でジャンプするのが気持ちいい。」と、その魅力を語ってくれました。
【次へのステップ】
西さんは、2012年から少しずつ実力をつけ全国各地の大会に出場するようになり、2018年には、岡山で開催された「第2回全日本BMXフリースタイル・パーク選手権大会」で、全日本チャンピオンになりました。
東京2020オリンピックの開催もあり、数年前まではオリンピック出場を目標としていたそうですが、30代半ばになり、自分の年齢のことや、お子さんが生まれて家族が増えたこともあり、今後も選手として続けていくことをもう一度考えたそうです。そして、自転車にはこれからもずっと乗り続けていくけれど、選手として上を目指すのではなく、今までの経験を活かして若い競技選手の育成や、普及に力を入れていきたいと感じたそうです。
最近は、コロナの影響でショーの開催が少なくなっているため、パフォーマンスの機会は少なくなっていますが、日進小学校や宮川小学校など、大台町内の学校でBMXのパフォーマンスを行い、子どもたちへBMXの魅力を伝える活動もしています。
そして、2022年からはコーチの仕事も決まっているそうで、まだ競技人口が少ない時期から、BMXに取り組んできた西さんだからこそ、今までの知識や経験を活かした指導ができるはず。着実に新たな目標に向って進んでいます。
【BMXを楽しむ人たちへ】
ショーなど通してBMXを知り興味を持っても、練習できる場所がまだまだ少ないという問題があります。
三重県内だけでなく、国内でも十分に練習ができる場所が少ないので、お隣の奈良県や愛知県からも、ジャンプ台を使わせて欲しいと連絡がくることもあるそうです。練習したい人には、連絡さえもらえればジャンプ台を開放して、いろんな方に使っていただけるようにしたり、ご自身の練習用として制作してきたジャンプ台も、子どもが使うことを想定して、幅を狭くするなどの工夫を凝らし新しく制作したりと、BMXを始めやすい環境づくりを始めています。
今後は、やってみたいと思った人がすぐに始められるように、自転車の販売もしたいとも考えているそうで、近い将来、大台町でBMXを楽しむ人たちが多く見られるようになるかもしれません。西さんの今後の活躍が楽しみです。
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